まず1番目のメリットは品質管理です。ヨギファームで飼育されたアグー「黒将」は、ぶたや黒将で料理するメニューに応じてあらかじめ仕込まれた食材です。
味や品質をしっかり管理して安心出来る食材をお届け出来ることにあります。
2番目のメリットは価格です。アグーは比較的高めな食材になると思いますが、手の届きやすい価格帯で提供出来ることが直営店の強みでもありますね。
実際、品質の良いもの美味しいものはコストがかかります。飼育のための設備を始め、餌など出荷出来るまでにかかる費用はかなりのものです。また卸業者などが関わっていけばその分のマージンも発生します。私たちは手間暇かけて、直営店とすることで大幅なコストカットを可能にしています。
直営店だからこそ出来る、味へのこだわりを追求した美味しい料理を、お求めやすい価格で提供していくことは当然の企業努力だと考えています。とにかく多くの人に「黒将を食べてもらいたい」と言う気持ちを優先していくと直営店でなければ中々難しいことだと感じています。
3番目のメリットはメニューの種類。直営店や専門店だと、多くはひとつの専門分野に絞ったメニュー体系ではないでしょうか。例えば豚しゃぶ専門店なら、豚しゃぶをメインにサイドメニューを拡充していくと思います。
私たちは、オリジナルのアグーを使用した豚しゃぶを看板メニューにしています。しかし、実際はその同じアグーで、ステーキやハンバーグ、つくね、天ぷら、冷しゃぶサラダなど、様々な料理を自社のアグーを贅沢に使用することが出来ます。
専門店なので、アグーという食材の可能性をどんどん追求していきたいですね。そのためにも飽きがこないような調理方法や味付けを試行錯誤しています。
料理する際にもかなり気を使っています。アグーにも個体差があってその個体差に合わせた料理、調理方法を取っています。例えば、しゃぶしゃぶの肉の厚さだったり、ステーキの火の入れ方、ハンバーグの配合など、その時のそのアグーのパフォーマンスを最大限に出せるように気を配っています。
個体差がある理由として、飼育の段階でアグーが食べる餌が季節ごとで変わることが挙げられます。どんな飼育環境で育ってきたかで肉質や味の仕上がりに影響が生じてきます。
シンプルな料理ではより素材の味を楽しめるように味付けもシンプルに。アレンジ料理では「私たちのアグーを使うとこうなりますよ」、というアプローチでその味を楽しんで頂きたいです。
「素材の味を重視する」のか、「アレンジ側に寄せる」のかでは味の方向性も随分と変わってくると思います。例えば「つくね」だと、鳥と鳥の軟骨を混ぜますが、黒将では豚肉とミミガー(豚耳)を混ぜています。
揚げる、焼く、蒸す、煮る、様々な調理方法でオリジナルアグーの美味しさを最大限に感じてもらいたいですね。
料理を目で見て楽しむ、食べて楽しむ、というのも五感での楽しみ方ですが、目で見て楽しむという点では店舗作りもこだわっています。
入り口で迎えてくれる自然溢れる庭は、ヨギファーム代表のお父さんが直接手入れをしています。店内入り口にあるウェルカムチョークイラストは毎月専属のデザイナーさんに描いてもらっています。
お客様の目線も大切にしながらメニュー作りにも力を入れています。レイアウトや美味しそうな写真、デザイン的にも雑誌風というか、読み物的な記事を取り入れたり、メリハリを意識しています。店内のイラストや写真も同じデザイナーさんにしていて、「おっ!!」って感じるようなところを詰め込めるよう考えています。
店内、建物についてもこだわりは色々あります。木の暖かさや落ち着いた雰囲気はすぐに伝わると思いますが、木造建築的にも少し特殊な構造なんです。店舗頭上を見上げると大きな梁があり、建築関係の方はすぐそこに目がいくとお聞きしたこともあります。
また予約して頂いたお客様をお迎えしているウェルカムメッセージも欠かせません。業務多忙の際は出来ないこともありますが、可能な限りお客様へのサプライズとして店長自らメッセージを添えさせて頂いています。
予約の際のちょっとしたやり取りから情報を収集して中身を膨らませて書いています。常連さんになると常連さんならではの内容になりますし、料理のお通しのように、気持ちのお通しというか、まずは「黒将を選んでくれて有難うございます」という気持ちをシンプルに早く伝えられる方法なのかなと。とにかく喜んで欲しい気持ちで書いています。たまにお口に合わない方もいますが…(笑)。
中には手紙のように大事にしてくれる方もいらっしゃいますし、手帳に挟んでたまに読んだり、飾っている人もいたり、写真を撮って記録している人もいます。
それを楽しみにしているお客様もいますから極力書くようにしています。時間があまりなくても、ご飯の前のひと笑顔、ひと笑いにしてもらいたいので。逆に間に合わないと結構ショックです…。
飲食で言えば、グランドメニュー以外にも日替わりメニューなど、常連さんにも飽きがこないようなメニュー作りも大切ですね。お酒の種類も泡盛から焼酎までかなり揃えています。
沖縄のお酒はオリオンビールと泡盛が主流ですが、焼酎好きな方にも楽しんで頂けるようにひと通りは揃えてみたつもりです。さすがに焼酎専門店には負けますが、中には珍しい焼酎もありますので、お酒でもお楽しみ頂けます。
メッセージひとつでも、メニューひとつでも、私たちの想いが少しでも届いて欲しいなと思って作っています。
想いや気持ちは見せ方ひとつで伝わり方も変わって来ます。やはりひとつ一つのことをしっかりと大事にしていくことが、黒将へ来店して頂くお客様への「おもてなし」に繋がることであり、お客様が気持ちよく来店出来る「店作り」に繋がると考えています。
「五感で感じる店作り」を大事にしながら、楽しいお店作りを心がけて行きたいです。またお店作りにも繋がることですが、様々な業種の方たちとコラボして新しい物作りを発展させて行きたいです。Tシャツなどのグッズやジャンルが違う料理でのコラボなど、オリジナル商品、メニュー開発、販売にも力を入れて、常にお客様を刺激していきたいです。
店舗だけではなく外へ出てのアピールも必要だと考えています。催事、物産展(イベント)などへの出店も積極的にしてきたいですね。お店ではお店の味を、出店では出店の味を、その時々の味を楽しんで頂きたいです。
外で黒将を知って頂いてお店に来て頂くことも嬉しいですし、ご来店したことのあるお客様が出店先でしか食べられないものを楽しんでくれることも嬉しいです。ある意味、2度美味しいと思います。
繰り返しになりますが豚にも個体差がありますので、その時々でお届けするものも変わってきます。食べられる時に食べておかないと、という感じでいつも注目してくれたら嬉しいですね。